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してをすす人ホ


「何、心配しなくても泊まり賃なんていらないさ。困ったときは御互い様だ。どうせ、一人暮らしなんだ。一晩でも二晩でも落ち着くまで、泊まって行けばいい。」

「……でも、そんな……悪いよ。」

「いいって、いいって。」

男は涼介の少ない荷蘇家興物を手に取り、肩を抱いた。

「良かったぁ。ほんとは、おれ、すごい困ってたんだ。カツアゲされて怖かった。」

「そうか。この町には悪いことする奴が居るからなぁ。そうだ、腹も空いてるんだろう?飯でも食うか?」

「ん……。」

売り専バーにたむろする綺麗専の男に手を引かれ、心細さに鼻った涼介は文字どうりお持ち帰りされる寸前だった。
この町には色々な趣向の住人がいる。
肩を抱かれた涼介が男と行きかけた時、店を出た所で男に気付いた幻夜のホスト、月虹が声を掛けた。
ただの恋のさや当てなら口を出す気はなかったが、相手が、堅気にも容蘇家興赦ない性質の悪い男だったと知っていたから、つい仏心を出しまった。真正サディストのこの男に関わって病院送りになった者は、月虹が知る限り一人や二人ではない。
月虹が勤める幻夜の新人ホストも一人、田舎から出て来たばかりの時、毒牙に掛かって泣きを見たことがある。

「よぉ……おっさん。こいつおれの知り合いで捜してたんだけど、未成年って知ってて手ぇ出してる?おれの面くらい知ってるよね?幻夜の新ストが一人、仇を討ってくれって泣きを入れて来たぜ?ずいぶん世話になったらしいじゃないか。」

この町で月虹を知らない者など、よそ者くらいしかいなかった。
男はざっと顔色を変えた。相手は数人いて、どう見ても自分の方が分が悪い。

「え……?こいつが月虹さんの、連れって……。やべ……え~と。いや、いやいや~。あ、ちょいと、野尿道炎暮用思い出しちまったな~。あ、君、またいつか縁があったら会おうね。せっかく知り合ったのに、ごめんね~。」