て立を話そ派


「そうだ。崩御の後、人の姿の抜け殻に引導を渡し、海面に浮かせたのも我自身だ。」

人の名を、どこか懐かしむような風であった。

「あれは熱に弱い脆い体で、生まれるときには難産で、我の過去の龍の記憶が生みの母を散々苦しめたと言う。」

現世での養育していただいたせめてもの礼に、今も命ある哀れな人間の母親に、幼子の亡骸なりとも届けてやりたかった。中身はもう抜けておっても、亡骸を弔いたいであろうと思ってのことじゃ。」

幼いままなくなったわが子を思う、人の世で母であった人を労わる海神の言葉はこの上なく優しかった。

あれから髪を下ろして仏門に入り、今は御仏に縋って、経三昧の日々をお暮らしのようじゃ。」

本をただせば、安徳天皇は入水の定めを持っていた。」

「はるか昔に我の持物だった天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を取り戻し、こうして海神となる運命(さだめ)であったのだ。」

海神は、どこか一人語りのように懐かしい話をした。
夢のようだと思いながら、弟は都人の形を取る雅な若者をじっと見ていた。何やらとんでもないものと関わったようで、弟の背筋をつめたいものが流れていた。
決して、人が触れてはならない、戦慄の禁忌の話を聞いている気がする。
龍神の語る昔語りは、まるで昨日のような口ぶりで、どこか御伽草子の一説のようだ。

「古代に神通力を失ってから、やっとこの時代にこうして力を得た。我は、小さな子蛇にまで身をやつし、気が遠くなるほど転生を繰り返してきたのだ。」

弟が、ふと周囲を見渡せば、自分の住むあばら家は、清んだ水の中に在った。
自らの膝の上では、鰈(かれい)がのんびりとやぶにらみの目で見上げて話を聞いていた。
いつしか、珊瑚の桃花の咲き乱れる海神の別荘となり、更衣の裳裾を引く海の底の女人の麗しさに、弟は目のくらむ思いだった。

音楽の乗る甘い風すら、潮の香を含む。
二人の若者は、夢とうつつのはざ間で、龍王の話を聞いた。

「その昔、わが名は高志之八俣遠呂知(ヤマタノオロチ)と言った。この時代に、われが長らく求める者はいないようだ。」

兄の求めに応じ再び姿を変えて貰い、腕の中に収まった人形は、水の中でゆらゆらと髪をそよがせ、ひしと思い人に掻きついていた。
まるで離れては生きてゆけぬように、兄と天児は抱き合って頬を寄せていた。
弟は多少、忌々しい思いで視線を送るが、相手は人形なのでどうしようもない。

龍王は、過去の話を酒の肴にしていた。

「その昔の我は、酒乱が過ぎて、とうとう先王に海の宮を追われた後も愛しい娘に出会うまで、懲りずに人の世で狼藉を繰り返していた。」

出雲の地に文字通りとぐろを巻いて、人間を相手に狼藉を繰り返し、追放された憂さを晴らしていたと言う。
人形の黒髪を手で梳いてやりながら、兄は「今も、伝説に残っておりますな。」と合いの手を入れた。

「ヤマタノオロチの伝承は、すべて真実でございましたか。」

「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)に天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を奪われてやっと目が覚めたが、そこから剣を取り返すには長い年月が必要になった。」

「須佐之男命に、切り刻まれて命が危うくなったわたしは、刀を隠した尾を落としやっとの思いで逃げ出してな。」

「だが、逃げ戻ったわたしに神器である天叢雲剣を取り返さなければ、海の都にも戻ってはならぬと父王が厳しく告げられたのだ。気高い龍族の誇りにかけて、容易く神器を奪われてはならぬとおっしゃった。」

自嘲するように、龍王は神も生まれただけでは、神にはなれぬのだと笑った。

「人もそうであろ?」

「しばらくは消えそうな命のまま、口縄(蛇)となり休んでいたが、やがて三種の神器がそろう時代が来て、ようよう転生が叶ったのだ。」

「そうとも知らず、清盛さまはお腹の中の龍王様に、変成男子の法」の術などもおかけ奉ったのです。」

変成男子の法」とは、腹の子が女児の場合、通力を持って男児に変化させると言う禁じられた方法である。
どうやら、側にいる尼は安徳天皇を抱いて入水した、二位尼のようだった。

「しばらく記憶はなかったが、生を受けたとき我が男に生まれるのは決まっていたはずじゃ。」

「だが、どうみても、我が人の世に生を受けたのは、我の代で平氏を衰亡させる役目であったとしか思えぬ。」

人の世の仮初の身なれど、滅びを見るのは辛いな」

はなから、そういう意味を持ってお生まれなのですから、仕方有りませぬよと今は、魚の尾を持つ尼が、傍らで言うのである。

神器である剣を持ち帰り、やっと先代龍王に許しを得に海の宮の主となったヤマタノオロチは、どこか寂しげであった。は、主上の御着物の端切れを頂戴して、わたくしが作らせたのです。」

大層お気に入り、わたくしの天児とお呼びになり、いつしか天児も恋うるようになったのでありましょうか。」
遣わし下さるそうじゃ!
どこからが夢で、どこからが現実だったのかわからぬまま、じりじりと陽に照り付けられてやっと船底から頭を起こした弟は、ふらふらと全てうと僧の下へと向かった。
古い庵で誰かが琵琶を奏でている。

「先帝御入水去程に阿波の民部重能は、嫡子伝内左衛門教能を生け捕りにせられて叶はじとおもひけん甲を脱ぎ弓の弦をはづいて降人こそ也にけれ」

料分くい振りを


「植物状態で、いったい何ができるんだ。脳外科の天才と言われても、自分を手術できない以上回復の見込みはないよ。」
「そんなこと???。もしかすると奇跡が起こって???。」
「詩鶴。奇跡というのはね、君も馬鹿じゃないのだから分かるだろう?」
「常識で考えては起こdermes 激光脫毛りえない出来事を、奇跡というんだよ。」

天音が一歩足を踏み込み手を伸ばすと、詩鶴が身を固くした。

「このまま、ここにいて「天音お兄ちゃん」と暮らすかい?可愛い詩鶴、お兄ちゃんは詩鶴のことが可愛くてたまらなかったよ。」

腕の中に引き寄せると、腕を突っぱね離れようともがいた。

詩鶴はボタンの飛んだ制服の前をかき合わせて、自宅に帰ってきた。
乱れた衣類に気付いた佐々岡が、なんでもなして声を掛ける。

「詩鶴さん。それ、テーブルの上に置いておいてください。洗濯してしまいますから。」
「あの???今日、ボタン取れてしまって???」
「男の子って、詩鶴さんみたいに大人しい子でもやんちゃするんですね。怪我はないですか?」

ほんの少し安心して、目を見交わした。

「うん。平気…お仕事増やしてしまって、ごめんなさい。」
「いいんですよ。たまには、わたしもお給らい、仕事しませんとね。申し訳ないと思ってるんですよ。」
「そんな???。でも、お願いします。」

詩鶴は着替えのために自室に駆け上がり、しばらくすると予期した通りすごい勢いで降りてきた。

「佐々岡さん!誰か仏間に入った!?」
「いえ。知りませんけど、何かありました?」
「お骨が???、仏壇のおdermes 激光脫毛母さんの骨壺が無くなってるんだ???。お父さんが、春になったらお墓に納めるって言ってたのに???。」
「お母さんの???どうしよう???。」

「食べてしまいたいほど、可愛かったよ。詩鶴、お兄ちゃんと一緒に、もう一度ホットケーキ作ろうか。邪魔なものはみんな取っ払って、素肌に薄いエプロン一枚で???オーガンジーの詩鶴に似合いそうなの買ってあげる。」
「天音???さん。放して???。」
「母が君を毛嫌いしていた理由がやっとわかったよ。君のお母さんは、僕の母にとっては居なくなっても許せない相手だったみたいだね。」
「死んだ後も、息子にこんなそっくりの顔を残して、母を苦しめるんだ。」

天音の手が詩鶴の小さな顔を捕まえると、かみつくようなキスを降らせた。

「んーーーーーっ???や???やだっ!」

振り切った詩鶴の腕をつかみ直も天音は告げた。

「父と僕のどっちがいい?詩鶴、君の良いようにしてあげるよ。叔父さんのベッドの足元で襲われかけている詩鶴は、とても扇情的だった。」
「???寄るな!ぼ???くに、触るな!」

向きを変えて、再び深く舌を差し入れ吸い上げた。
腕の中の詩鶴は涙にくれて、ただじっと天音の顔を驚愕の眼差しで見つめている。
首筋に天音の舌が下りてきて、薄い長袖シャツの下を指がまさぐった。
薄い胸に執着した指が、ほんの少しの厚みを見つけ出し、力任せに捻った。

「ぃやーー???っ!」

どんと、胸を押し詩鶴は濡れた顔を向けた。
何か言おうとしたが、唇は震え言葉はdermes 脫毛價錢出てこない。

その夜から、詩鶴は行方知れずになった。

夜半から降り出した細かい雨が、今頃ずっと泣いている詩鶴の涙のようだと思う。

「詩鶴???ごめん。ごめん???こうするしか、なかった。」
「守ってやれなくて、ごめん???。」

ベランダで独り、雨に打たれながら詩鶴を思った。

『天音お兄ちゃん』

もう二度と、そう呼ばれることはない。
天音の嗚咽が夜陰に呑まれた。

戻っなれるな



「そうだよねぇ???もっと早くに気が付けばよかった。ごめんね???馬鹿の一つ覚えみたいに、ぼく???いつだって、後から気が付くんだ。いやになる???」

「責めたんじゃないぞ。」

「う???ん???、うん???わ、わかってるけど???」

テーブルに突っ伏したきり、もう涙が止まることは無かった。
えぐえぐと、引きつるようにしゃくりあげながら、詩鶴は一時間余りも涙にくれ、次に顔を上げたときに、柾くんDPM點對點にお話があります、と決心をつけたように告げたのだった。

頬がこわばっていた。

「あのね???。テレビなんかで、名前は知っているかな。」

「ぼくは、京都の鴨川総合病院の、跡取り息子です。」

「えっ。」

脳外科に世話になるような人は、ひょっとしたら知っているかもしれない。
たぶん誰かがテレビで見たと、言い出せば周囲がうなずくような神の手を持つスーパードクターがいる病院だった。
大きな脳腫瘍で、余命いくばくかとか言う患者が、助かって家族が感涙に咽んでいるのを特番で見たことがあるような気がする。
詩鶴はそんな大きな病院の跡取り息子なのだそうだ。

「すっげ???」

俺は、そんな安易な感想しか言えなかったが、詩鶴は言葉を続けた。

「でも、それも二年前までの話だよ。父が倒れてしまったから。」

ほっと、小さく息を継いだ詩鶴が言うには、2年前にそれほど腕の良かった父親が悪性腫瘍で倒れ、今は家の総合病院で植物状態になっているらしい。
医者の不養生ということなのだろうか。

「ぼく???ね。小さい頃から、お父さんに憧れていて、まるでDPM枕頭神さまみたいに大勢の人を助けられる医者になりたいとずっと思ってた。」

「うん。詩鶴は親父の背中を見て、ちゃんと育ってたってことなんだな。いいじゃん。」

ほんの少し嬉しそうに詩鶴は微笑んで、でも直ぐに顔が曇った。

「まるで、ドラマの中のような話だよ。ぼくはね、ずっとお医者様になりたかったから、勉強以外は何もしないで最近まで過ごしてきたんだ。周囲に、どれだけ迷惑かけているか何も気が付かないでね。」

詩鶴は、自分が病院の後を継ぐべく懸命に勉強をがんばっていたらしい。
家が病院だからといって、なまじっかなことで医者にんて、さすがに俺でも思っていない。

「父が突然倒れて、病院をどうするかって途方にくれていたのだけど、叔父さんが勤めていた大学病院をやめて、父の代わりに病院にてくれることになったんだ。」

ほんの少し、違和感があった。

「叔父さんって???。さっきの、あの柄の悪いやつなのか?」

詩鶴はうなずいた。

どこか悲しそうな詩鶴の話は、いきなり核心を突いて、手首の傷の話になるのだろうか。

俺は覚悟を決めて向かい合うと、一つの皿の上にあるハンバーグをつついた。
視線を合わせて詩鶴の顔をじっと見るには、ちょっと勇気が居る。

詩鶴は???本当にそこに居る詩鶴は、小さくて心もとなくて、そのくせ儚げな表情で消え入りそうに微笑むから???
母ちゃんの人形のようなけぶる眼差しを向けて、小首を傾げたら俺じDPM價錢ゃなくても、誰だって庇護欲をかきむしられるんじゃないかと思う。

さまにこと


「琉生……いいか?僕は親父が琉生とお母さんを間違えているなんて、一言も言っていない。」
「あ……。」
「正直に答えてくれ。琉生も親父の様子がおかしいと感じているんじゃないか?親父は琉生をお母さんだと思っているのか?そう口にしたことがあった?例えば、琉生をお母さんの名前で呼んだことはないか?」
「そんなことは……」

無いとは言えず、琉生が言葉を飲み美股 即時 報價込んだのを、尊は見逃さなかった。

「ちょっとだけ……怖かったことが有る……。お父さんは時々、ぼくに傍にいろって言うんだ。」
「それで?」
「最初言われた時は、学校があるから無理って断った。ちょうど、隼人兄ちゃんが学校に行くときで遅れるぞって呼んでくれたから、すぐに出かけたんだ。」
「それだけか?」
「うん……それだけ……」
「琉生。僕はいつでも琉生の味方だろ?誰にも言わないから、何が有ったか話してご覧。隼人にも言わない。」

琉生はしばらく考えて、やっと重い口を開いた。

「その日の夕方、学校帰りに塾に行ったんだ。そうしたら、帰るのが遅いってひどく叱られた。今までどこに行ってたんだって。いつか、お母さんと出かけた時、ぼくがバスに酔ってしまって帰りが遅くなった時が有ったでしょう。あんな感じの……一方的な怒り方。でも、ぼくはいつもどうり、塾か飲水機推薦らの帰り道は、どこにも寄らないでまっすぐ家に帰って来たんだよ。それに、お父さんはこれまで、そんなでぼくを怒った事なんてなかったのに……」
「急にそんな風に叱られたら、琉生も困るよな。」
「うん……帰るなりすごい剣幕だったから、ちょっと驚いた。」

寺川は、妻の外出を喜ばなかった。
たまに出かけた妻の帰りが遅くなると、あから不機嫌になって、側に子供たちが居ようと構わずに文句を言った。

尊はそんな父を知っていたから、母に代わって、できるだけ琉生を連れて買い物に行くようにしていたくらいだ。

もしも琉生を相手に、過去に母にしたのと同じようなことが繰り返されているのだとしたら、放ってはおけない。琉生の話を聞き、尊の不安は昏い確信へと変わった。
父を信じたくても、事実を前にしては、どうしようもなかった。

「……一周忌の法事も済ませたのに、親父はまだ立ち直っていなかったんだな。酒量が暗瘡治療増えていると聞いていたから、気になってはいたんだが、お母さんがいない現実を認めたくないんだな。」

尊はしょんぼりと俯いた琉生に、ふっと笑いかけた。

だとはれま


幕末最大の惨劇の主人公となった容保を藩主に頂いた会津藩には、塗炭の苦しみと耐えがたい困難が次々と襲う事になる。

あどけない顔で眠る幼い直正も、襲い来る歴史の奔流に投げ出されてゆく。
生まれたばかりの一衛も、身長ほどもあるゲベール銃に持ち換えて、鶴ヶ城で籠城した後、大好きなおHKUE 傳銷隣の直正の背中を追って、遥か江戸の地で命を落とすことになる。
雪一片の如く時代の中に消えゆく二人……儚い人生であった。翌月、藩政見習いの為、松平容保は初めて会津入りしている。
直正の父と濱田家の叔父は、身支度を整え、家(か)中総出で行われる追鳥狩へと出発した。

追鳥狩とは、会津藩伝統の長沼流にのっとった作法で行われる、実際の戦さながらの大がかりな軍事演習のことである。
夕方4時から具足に身を固めた藩士が二手に分かれ、鶴ヶ城の追手門(表門)と搦手門(裏門)から出発する。
先陣が大野ケ原に到着すると合図の狼煙を上げ、これを滝沢峠船石で中継し城下に報せ、そのまま野営して朝を待った。
容保も戦支度をし、藩士たちと共にかがり火の下で夜の明けるのを待つ。
その姿は青い陣羽織を纏い、烏帽子を被って凛々しく白鉢巻を巻いたもので、美々しい貴公子振りであった。

やがて白々と夜が明けると法螺貝の音が開始を告げ、全軍があげる鬨(とき)の声と共に、演習がHKUE 傳銷開始される。

夕刻、表に出て見送る直正に、父はふっと優しく破顔した。

「きっと、一番鳥の手柄を上げて見せるぞ。良い知らせを待てよ、直正。」
「はい、父上。首尾よく獲物を捕らえらすように、ご武運お祈りいたします。」
「では、行って参る。」
「行ってらっしゃいませ。」

父と叔父が揃って出かけるのを家族と共に見送ると、直正は踵を返し家ではなく隣へ走った。
二日前から、小さな一衛が熱を出したと聞いて胸を痛めていた。

「叔母上!叔母上。一衛の様子はいかがですか?お熱は下がりましたか?」
「ああ、直さま。……まだ下がりませぬ。感冒思うのですけれど、どうやらこの子は咽喉が弱い質らしくて……。」

寝間の我子を見やった叔母は、数日の寝ずの看病で面やつれをしていた。
一衛は生まれつき呼吸器が弱く、免疫がある赤子にしては、よく高い熱を出す。
直正は上がり込むと、赤い一衛の顔と短く忙しない呼吸を認めた。
そっと、額に手を当ててみる。泣き声もか細く力がなかった。

「かわいそうに、一衛。……お熱が高いね。」
「わたくしの乳が余り出なくて、貰い乳に出かけたのが良くなかったのかもしれません。いつも来てくれてHKUE 傳銷いた方のご実家に御不幸があって、夜風が冷たくなった頃に一衛を連れ歩きましたから。」

戦うの背負い


元々、長く戦列を離れていた西郷には、指揮は不向きだったのかもしれない。
西郷頼母は決死實德の覚悟で単騎、敵陣に打って出ようとしたが周囲はこれを止めている。
指揮に慣れていない西郷頼母を選んだ、容保の人選が適切ではなかったと言えるかもしれない。
鳥羽伏見の戦で古い戦の方法が役に立たないとわかっていながら、何故指揮官を頭の固い西郷にしたか。
何故、京都で結果を出した若い山川大蔵を呼び戻し、抜擢しなかったのか。
そこにはやはり、旧態然とした会津の考え方があった。
会津の上層部はまだ古い考えに縛られていて、若手の登用に積極的ではなかったといえる。
その上、会津に入るには必ず通らなければならない橋を落とそうとしたが、新政府軍の進軍が早すぎて破壊が間に合わなかった。石橋の頑丈さが仇となった。

直正は手勢を率いて、白河へ入ろうとしたが既に陥落した後だった。

「白河が落ちたか……」

本陣から城へ戻ってきた容保は、報告を聞くと、ぎり……と、唇をかんだ。
斥候が伝えて来るのは、各地での敗戦ばかりだ。
白皙の支付寶貴公子は疲れ果てていた。

*****

ついに新政府軍が迫り、城下では火急を告げる早鐘が激しく打ち鳴らされた。
城下は、荷物をもって城へ集まる人々でごった返していた。

「半鐘がなっています。母上。早くお城に行きましょう。直さまが早鐘が鳴ったら急ぎなさいとおっしゃったのです。お爺さまは、一衛がますから、お支度をお願いします。」

いつも通り、寝たきりの舅に粥を炊く母の背に、一衛は声を掛けた。
大八車を手配したかったが、どこも他所に貸し出すほどの台数はなく用意できなかった。一衛は本気で祖父を背負って城へ入る気だった。

「あの……母上、どうかされたのですか?」

落ち着いた母が、何故か急いでいないのが不安だった。

「お急ぎ下さい。、時間が来たら城門が閉まってしまいます。」

母は、しゅっと襷をほどいた。

「一衛。あなたは一人でお行きなさい。母はお爺さまと、この家に残ります。あなたはお城に入り、しっかりと父上の分もですよ。よろしいですね。」
「え……でも……上士の家の者は皆、お城へ入るようにと實德金融言われています……。」
「何をうろたえているのですか。こちらにいらっしゃい。お爺さまにお別れのご挨拶をするのですよ。」
「……あい。」

れません通だと思


ああ、綺麗。
澄んだ空に向かって樹木が伸びています。
なんでこんなに綺麗な世界があるというのに
僕たちはずっと下を向いて歩いているのだろう?と
思わされます。
それくらい綺麗な空と木々。


だが、しかし、
僕たち夫婦には使命があるのです。
シダーローズを探すという高尚な使命です。


またこんなのを書いちゃうと、
アンチ共産党の人みたいに思われるかも飲水機品牌しれませんが
決してそういうわけではございませんよ。
僕はあくまでも無党派の人間です。
でも、
いかなる誤解を受けることになったとしても
これだけは書かずにいられないんです。


だって、
志位委員長の新たなるポスターが

こんな感じなんですもの。


いやぁ、
これ、すごくないですか?
なんていうか唖然としてしまうポーズです。


この日曜日はお休みだったので
僕は朝早くに起きて
小説の書き直しをするためいつもの喫茶店へ
向かっていました。
奥さんはお勉強することがあるので
別の喫茶店へと行きます。
向かう方面は一緒なので寒い中を連れだって
僕たちは歩いていたわけなんです。
その通りすがりに、


これを見つけてしまったわけです。


うーん、こりゃすごいな。
そんなことはないと思うけど、
ふざけてるように見えてしまう。
それにしても
この手はなにを示そうとしているのでしょう?
水晶玉に手をかざしているようにしか見えませんね。
あるいは、


このお方の真似でもされているのでしょうか?
なにかが爆発しちゃうんでしょうかね。
でも、なにが?
共産党が?政治が?国会議事堂が?


また、
このお方も思い起こされてしまいますね。

Mr.マリック氏です。
しかも、
こうなると――


かなり似通ってしまいますね。


あるいは、このお方も。

ユリ?ゲラ―氏ですね。


志位委員長にスプーンを渡したら、
全部ひん曲げてくれそうです。
いや、まあ、
そんなことしてもらっても誰も得しないですけどね。


そう考えて、もう一度
志位委員長のポスターを見てみましょう。

なんだか不敵な笑みを浮かべてますね。
隠し球を持っているって感じの表情です。
「いくら数で押し切ろうとしても
俺たちには神秘のパワーがついているんだぜ」とでも
言っていそうに見えます。


しかし、
顔だけ切りとってみると、


若干は不敵な表情に見えるものの
いつもの《立派な野党党首》の顔にしか見えません。
やはり、手のポーズが問題なんですね。
どういう意図があって、こんなふうに撮ったのだろう?
そして、
なにを表現しようとこのポーズを採用したのでしょう?


いや、
まあ、そんなことは
どうだっていいんですけどね。

僕はけっこうな田舎の生まれなので
町のあちこちに舗装されていない道がありました。
雨が降った後なんかは
ぬかるんでしまうような道ですね。


しばらく埼玉に住んでいたこともあるのですが、
まあ、あの辺にも
当然のよ搬屋公司うにありましたね。
僕の住んでいたのが川沿いでもあったので
土手下なんかはもちろん
剥き出しの土にびっしりと雑草が生えていました。
そこを歩くことはほぼなかったものの
きっと雨の後にはぬかるんでいたことでしょう。


東京で暮らすようになってからもけっこう経ちますが、
さすがは大都会だけあって
探さない限りは舗装されていない道に
ぶちあたりません。
しかし、
探そうとすればあるもので、


こんな感じにぬかるんでいます。


とはいえ、
これは《道》といっていいかわからない場所です。


毎度お馴染みの雑司ヶ谷墓地ですね。


僕は休みの日にはだいたいいつも
雑司ヶ谷墓地に行くようにしているので
(漱石先生の墓参にです)、
こうやってぬかるんだところを
歩くことができるわけです。


いえ、
とくにぬかるんだ道が好きってわけじゃないですよ。
靴に泥はつくし、気をつけてないと滑るし、
どちらかというと嫌いな方ですね。
ただ、
こうやって眺めていると、
今朝は東京でも霜が降りたのかな?なんて思えるので
その部分だけに関していえば、若干は好きですね。
ぬかるみに季節を感じるってことでしょうかね。


(↑誰かの足跡が残ってますね。そうとう泥まみれになったことでしょう)


ところで、
僕はぬかるんだ道を歩いていると
忌野清志郎の歌を口ずさんでしまいます。
『雪どけの道では
何度も何度も足をとられ
大切な一言が言いにくい
言いにくい春なのさ』
いや、
まったくもって『雪どけの道』なんかじゃないのですがね。
でも、なんとなく口をついてきてしまうんです。


ま、
どこにでもあたりまえにあるような
ぬかるんだ道に興味を持つなんて
相当な暇人のすることなのでしょう。
それこそ、
同じ歌で清志郎がうたっているように
『駅のホームに散らかってる出来事さ』と
思われる方もいるでしょうね。
「こんな写真撮ってどうする気?」ってふうに。


しかし、
ごくあたりまえのものに出会えない場所にいると
こんなものにでも
心を動かされることがあるんです。

まあ、最近ほとんど耳にしませんけど
『ガッツ』って言葉がありますよね。
「あいつ、ガッツがあるな」とかの
『ガッツ』です。
ああ、それに
ガッツポーズの『ガッツ』ですよね。
そっちの方はまだ耳にすることもあります。
《ガッツポーズ論争》なんてのもあったようですしね。


さて、
この『ガッツ』ですが、当然のごとく
もともとは英語であって、
『gut』の複数形であります。
単数では『腸』のことらしいですが
複数形になると『はらわた?内臓』になるようで、
それが転じて『根性?肝』みたいな意味にも使われるそうです。
つまり、
「Hehasgats」は、
「彼は内臓を持っている」ではなく、
「奴は肝が据わってる」になるわけですね。


で、
『ガッツ』というと必ず登場してしまうのが


このガッツ石松氏ですね。
このお方、本名は鈴木有二さんなんですね。
リングネームに本名の欠片もないわけですが、
『石松』は、あの『森の石松』から
『ガッツ』は、所属ジムの方々が
「もっと根性のあるボクサーになってもらいたい」という
希望をこめてつけたそうです。


ガッツポーズについては、
このガッツ石松氏が試合で勝ったときにしたポーズが
由来になっているという説搬屋公司が有力になっているようです
(それ以外にもボウリング絡みの説があるようです)。
だから、
先にちょっとだけ挙げた《ガッツポーズ論争》にも
ガッツ石松氏は引っ張り出されてしまったようですね。
ちなみに
このガッツポーズはいわゆる和製英語ってやつで、
英語では『victorypose』とするのが普通のようです。

なにが言いたいかというと
(いえ、とくになにか言いたいこともないのですが)、
こう並べてみると
なんかすごくないですか?
『gut(腸)』→『guts(内臓。転じて根性)』→
『ガッツ石松氏』→『ガッツポーズ』という流れが。


言葉が流れ流れて、この極東の島国で
変な感じに変わっていってしまったんですよ。
いや、
まあ、言葉自体はさほどの変化をしておりませんが
『ガッツ』と言えば『ガッツ石松』が頭に浮かぶように
なってしまっているんです(僕だけかもしれませんがね)。


ん?
変な感じに?
いえ、
僕はガッツ石松氏を敬愛していますよ。
ボクシングというスポーツが好きですし、
彼は世界チャンピオンにまでなった方ですからね。

うん、ほんとうに敬愛していますって。

「ああ、この人って自分が大好きなんだろうな」と
思わせる方っていますよね。
僕が勤めている会社の常務はまさにソレで、
まあまあ良い男振りでもあるのですが
それを思いっきり意識されてるような節があります。
髪をかきあげる仕草なんかを見ていると
ひしひしと伝わってきますね。
「そうとうなもんだな、こりゃ」と思うほどにです。


その常務ですが、
今は部下どもに任せているようですけど
僕が入社した頃は
二次面接を受け持っていたんですよね。
で、
彼の面接を受けた者たち(僕も含む)は
「ああ、この会社、絶対に落ちた」と思ったものです。
というのは、
ずっと、ほんと延々と
自分の話しかしないからです。


「俺は昔こういうとこで働いていて、
それで、今はこういう立場になっているわけだけれども、
まあ、そうなれたのにはやり方があって、
つねにこの後どうなるかを考えながら、
次なる一手を考えつつ働いて、なおかつ
自分の生活のことも念頭におきながら――」と
句点の置き所に困るしゃべり方で捲したてられました。
いえ、
そこは良い男振りの方なので、喚くわけでもなく
ごく淡々と低い声で話されていましたけどね。


そんな面接受けたことがなかったものだから
大多数の者たち(僕を含む)は
「ああ、この人は私に興味がないんだ。
つまり、不採用ってことでしょ?」と思ったわけです。
ま、そう考える方が当然でしょう。


今はほとんど顔をあわせることもありませんが、
僕はその常務を見るたびに
「うん、そうとう自己肯定の強い人だな」と思います。
ま、仕事上の彼しか知らないので
それですべてを判断すべきではないのでしょうけど。


ところで、
かくいう僕もけっこう自分が好きです。
「そうでなければ文章を書いたりしていないんだろうな」
などと思ったりもします。
だって、
書くこともそうであれば、このように発表してるなんて
自己愛の強い人間でなければしないと思いませんか?
――いや、まあ、
どんな理由で文章を書くかなんてことを述べはじめると
テーマから著しく離れてしまいそうなのでやめますが、
僕は「うん、自分のこと大好きだ」と思う人間のひとりです。


しかし、
そうではあるんですが、
完全に諸手を挙げて「自分、大好き!」にはなね。
「ああ、この部分は嫌だな」だの
「昔、あんなことしちゃったからな」なんてふうに思うと
「うん、けっこう嫌い」とも思うことも(多々)あります。


人間って、身内の者にも決して言えないような
失敗体験を抱えているのが普いもするので、
完璧に「自分、大好き。イヤッホー!」にはなれないですよね。
だけど、